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相続対策として不動産を活用することのメリット・デメリット

 収益を上げるだけでなく税金対策として、マンションやアパートを経営することや東京繁華街のマンション一室など購入して貸し出すことで節税ができる、などをよく耳にします。

 これは、相続税の節税だけに限れば確かに効果があることです。 

 当然、斡旋される会社は投資用に不動産を買ってもらいたいわけで、できる限りメリットとなる良い言葉を並べられることが多いですが、その際に相続対策を含めた不動産購入のデメリットを正しく理解

していないと本当に相続対策になるのか判断ができないでしょう。

 当記事では、不動産を活用した代表的な節税方法をもとに、そのメリット・デメリットを挙げ、実際に進んで活用すべきものなのかどうか考察します。

相続税に強い税理士なら、長野県松本市の小沢税務会計事務所

 

【賃貸用不動産を活用した節税】

・マンション、アパートの購入・経営

〔 メリット 〕

① 現金・預金などで財産を保有するより、評価額が安くなる

② 家賃収入が入る

③ 自宅にすることができる

① 現金・預金などで財産を保有するより、評価額が安くなる

 相続税を計算する際、税率をかけるべき相続財産価格を相続税評価額と言います。

 計算時には、現金・預金は額面のまま、つまり1億円は1億円で計算しますが、土地や建物などの不動産は相続税計算上の価値に変換するため購入価格や時価よりも安くなることが多いです。

 つまり、現金・預金などで保有しているよりも、同じ価値で土地や建物を購入したほうが相続財産が減って、相続税が減るということです。

 相続対策と言われるものには、この評価額を安くすることを通じて相続税を減らす目的のものが多くあります。

 実際にどれだけ相続財産及び相続税が減るのか、被相続人から受け継ぐ財産が、以下のものであるケースを比較します。

 ・現金1億円

 ・1億円で購入したマンション(土地3000万円所有、建物7000万円所有、賃貸割合100%)

 相続人が子1人だとすると、相続財産から差し引ける基礎控除額は3600万円(3000万円+600万円×法定相続人数)になります。

 現金1億円を相続するケースでは、以下のようになります。

 10000万円〔現金の相続税評価額〕-3600万円〔基礎控除〕=6400万円

 6400万円 ×30%-700万円〔相続税評価額1億円以下にかかる相続税率〕=1220万円〔相続税総額〕

 一方で、貸家建付地であるマンション1億円(土地3000万円所有、建物7000万円所有、賃貸割合100%)を相続するケースでは、以下のようになります。

 土地は路線価(倍率)で評価するため時価の約8割、建物は固定資産税評価額で評価するため取得金額の約6割ほどになります。

 さらに、土地や建物を貸している場合は、借地権や借家権による評価減があります。

 借地権や借家権については詳しく記述しませんが、便宜上、賃貸割合100%で借地権は50%、借家権は30%にします。

 土地評価額概算 2400万円(取得金額の8割)

 2400万円〔路線価・倍率評価額〕-(2400万円×50%〔借地権割合〕×30%〔借家権割合〕×100%〔賃貸割合〕)=2040万円〔土地評価額〕

 建物固定資産税評価額 4200万円(取得金額の6割) 

 4200万円〔固定資産税評価額〕-(4200万円×30%〔借家権割合〕×100%〔賃貸割合〕)=2940万円〔建物評価額〕

 2040万円〔土地評価額〕+2940万円〔建物評価額〕=4980万円〔マンションの相続税評価額〕

 4980万円〔マンションの相続税評価額〕-3600万円〔基礎控除〕=1380万円

 1380万円 ×15%-50万円〔相続税評価額3000万円以下にかかる相続税率〕=157万円〔相続税総額〕

 以上のように、1億円の資産を現金で相続するケースとマンションで相続するケースでは、1000万円以上の差があります。

 マンションやアパートなどを購入することで、資産の市場価値を下げ、建物や部屋などを貸し出すことで借地権や借家権分を減額することができるということです。

② 家賃収入が入る

 マンションやアパートを経営するということは、購入した不動産を賃貸することにより使用者から家賃収入を得ることができます。

 預金などで保有していても微小な利息以外に収益は生まれませんが、不動産に形を変えることによってある程度の資産価値を保ったまま収益を生み出すことができます。

③ 自宅にすることができる

 相続税対策でマンションやアパートの購入を検討するようなケースでは、予定被相続人は夫婦のみ又は単身住まいで、主な予定相続人となる子どもなどの親族は自立していることが多いです。

 子どもが自立したため広い自宅が必要なくなった、相続が発生しても引き続き自宅に住む親族がいない、などの場合には、相続対策やスムーズな相続を達成するための準備として、自宅を清算し、マンションやアパートを建てて移り住み、不動産の経営や管理をすることも相続対策としては有効でしょう。

〔 デメリット 〕

① 借金をする場合、利息が発生する

② 経営・管理をする必要がある

③ 相続人がマンションやアパートを必要としない場合がある

④ 損失が出る可能性がある、または収益が発生しすぎてしまう

 ① 借金をする場合、利息が発生する

 自己資金でマンションやアパートを購入できない場合、相続対策として借金をすることと支払利息が発生することが一番のネックになると考えます。

 まず、相続するということは、現金や不動産などプラスの財産だけでなく、借金などマイナスの財産も引き継ぐことになります。

 相続人の立場からすると、いくら収益を生み出す物件があるからと言って同時に借金も引き継ぐことは躊躇うこともあるでしょう。

 一括借り上げなどリスクを軽減するような経営形態なども多くありますが、相続後に相続人が損失を被ることも十分に考えられます。

 また、不動産投資ローンなどにより借り入れることで利息が発生します。

 例として、マンション経営(土地3000万円、建物7000万円)を始めるケースで、土地3000万円は昔から所有していて、自己資金2000万円の準備がある、という不動産投資を始めるには好条件なケースでも、不足額である5000万円はローンを組むことになるでしょう。

 5000万円のマンションローン(金利2%)で、返済期間20年、としても返済総額は約6000万円になります。

 結果として、マンションやアパートを購入することで相続財産の相続税評価額が下がり相続税が安くなっても、借入利息分は損失が出るということです。

 ② 経営・管理をする必要がある

 不動産を購入して貸し出すということは、相応の手続きが必要になります。

 購入時の登記から居住者との賃貸契約、収支管理や所得税の申告などやることは多いです。

 資産価値を維持するために管理や修繕も必要になりますし、これらを外部委託すれば委託料もかかります。

 また、相続発生時には、相続人にも登記の依頼や相続税申告に伴う煩雑な評価が必要であったり現金より手間がかかります。

 ③ 相続人がマンションやアパートを必要としない場合がある

 相続人にとって、財産は現金預金で引き継ぐことが最も容易で、かつ望ましいケースがほとんどです。

 現金預金で相続すると自由に用途を選ぶことができますが、マンションやアパートを相続するとその経営・管理を行う必要があり、損失リスクや借金なども出てきます。

 相続人が相続できる不動産を必要としない場合、相続時に売却するケースが多いため、結局ロスが出てしまい、より多くの費用が掛かることもあります。

④ 損失が出る可能性がある、または収益が発生しすぎてしまう

 マンションやアパートを購入し経営する不動産投資は、投資である以上当然損失を被るリスクもあります。

 相続税対策は、財産を圧縮することであり、財産を減らすこととは異なりますので注意してください。

 また、良い投資物件から相続対策で行ったつもりの不動産投資から収益が発生しすぎてしまい、かえって相続財産が増えてしまうこともあります。

 財産自体が増えることは嬉しいことではありますが、相続税を抑えるという意味での相続対策としては逆効果になってしまいます。

 収益を多く生み出す優良な投資物件でしたら、相続時精算課税などの制度を利用して早めに贈与することが望ましいです。

 相続時精算課税の活用については、 相続時精算課税の注意点と活用方法 をご覧ください。

・高層マンション(一室)の購入・経営

〔 メリット 〕

① 現金・預金などで財産を保有するより、評価額が安くなる

② 家賃収入が入る

③ 比較的売却が容易である

 ① 現金・預金などで財産を保有するより、評価額が安くなる

 基本的にはマンション、アパートの購入・経営のケースと同じ仕組みになりますが、高層マンションのほうが評価額の減額割合は大きくなることが多いです。

 その理由として、土地や建物の評価額が占有面積比で評価されるためです。

 分譲マンションを購入すると建物であるマンションの一室だけでなく、そのマンションが建っている土地についても所有権があります。

 相続において建物と土地はそれぞれ評価することになりますが、いずれも建物(マンション)・土地(マンション敷地)の全体の評価額を所有する面積比で評価することができます。

 つまり、通常のマンションに比べて、マンション面積に対する部屋数が多い高層マンションは、相続税評価額をより圧縮することができます。

 さらに、高層マンションの場合は、購入価格の安い低層階と購入価格の高い高層階と時価は大きく異なるものの、面積比が同じであれば評価額は同じになるため、購入価格の高い高層階になればなるほど資産価値と相続税評価額の差は大きくなる、つまりは得をするということです。

 実状、東京都心部の30階や40階あるような高級タワーマンションを購入して貸し出すことで、購入価格から80%程度を差し引いた評価額まで圧縮できることもあるそうです。

 相続対策の観点ですと、購入した高級マンションは貸し出すことで評価額を下げるか、自宅にすることで小規模宅地等の特例を適用して評価額を下げることが望ましいでしょう。 

 小規模宅地等の特例については、 小規模宅地等の特例による宅地等の相続 をご覧ください。

② 家賃収入が入る

 基本的にはマンション、アパートの購入・経営のケースと同じ仕組みになりますが、高層マンションはエレベーターなどの設備があるため、修繕費割合などが高くなりやすく、金額は大きくなるものの利回りが悪くなることもあるようです。

 ③ 比較的売却が容易である

 高層マンションは、自宅にするほか投資用としても売買され、立地柄人気もあるため比較的売却がしやすい不動産になります。

 売買されやすいということは、中古物件も多く流通し、中古でも優良な物件を探すことができます。

 また、購入時より時価が下がりにくいというメリットもあります。

〔 デメリット 〕

① 借金をする場合、利息が発生する

② 経営・管理をする必要がある

③ 相続人がマンションを必要としない場合がある

④ 損失が出る可能性がある、または収益が発生しすぎてしまう

⑤ 租税回避行為とみなされる、改正により節税効果がなくなるおそれがある

 ①~④

 マンション、アパートの購入・経営のケースと同様なデメリットがあります。

 投資用の高層マンションは、いわゆる億ションと呼ばれるような高価なものであり、それに伴って収益や損失も大きくなるため、相続対策として利用するためには、より慎重に選択する必要があります。

 ⑤ 租税回避行為とみなされる、改正により節税効果がなくなるおそれがある

 租税回避行為とは、いわゆる違法ではないものの法が想定している方法とは逸脱した方法で課税を逃れようとする行為で、その行為自体が否認されるおそれがある行為です。

 亡くなる直前に高額なマンションを購入したり、そのような財産を相続後にすぐ売ってしまったりなど、課税を逃れる目的で高層マンションの一室を購入したとみなされないように注意する必要があります。

 また、租税回避を防ぐことを目的とした税制改正により節税効果が薄れる、最悪の場合は節税効果が無くなってしまうおそれがあります。

 税制改正により節税効果が薄れる可能性はどの相続対策にも言えることですが、やはりグレーゾーンともいえる節税手段であるタワーマンション投資などから規制されていくでしょう。

 相続はいつ起こるか分からないものであるため、税制改正により節税効果が薄れるリスクが高い手段は避けることが望ましいです。

相続税に強い税理士なら、長野県松本市の小沢税務会計事務所

 

【居住用不動産を活用した節税】

・都市部に引っ越す

〔 メリット 〕

① 現金・預金などで財産を保有するより、評価額が安くなる

② 居住用財産の売却の特例が適用できる

 ① 現金・預金などで財産を保有するより、評価額が安くなる

 自宅を引っ越すことは、現金・預金を使って新しい自宅を購入して移り住むことになります。

 建て替えという形でも有効なのですが、現在の住んでいる地域よりさらに都市部などに引っ越すと、従来と宅地と比較して同じ敷地面積であったとしても値段が上がることになり、自宅(特に宅地)の評価額が高くなります。

 都市部に引っ越すことで自宅の評価額が高くなることが相続対策につながる理由は2つあります。

 1つ目は、都心部の土地と地方の土地の購入価格(時価)と相続税評価額の差が異なるためです。

 路線価があるような住宅地の場合、一般的な宅地は時価の8割ほどとされていますが、都市部に行けば行くほどその割合は下がっていき、時価と相続税評価額のギャップが生まれます。

 2つ目は、小規模宅地等の特例を適用できる場合、大幅に評価減することができるためです。

 現金・預金は額面のまま相続税評価額となりますが、小規模宅地等の特例が適用できる宅地である場合には、最大80%の評価減ができます。

 小規模宅地等の特例については、 小規模宅地等の特例による宅地等の相続 をご覧ください。

② 居住用財産の売却の特例が適用できる

 自宅を引っ越した場合、従来の土地や建物を売りに出した資金をもとに新しい自宅を購入して移り住むこともあるでしょう。

 その際、当然ながら自宅の買い替えとなるため特定の居住用財産の買換えの特例により譲渡所得は繰り延べできるものの、あくまで繰り延べであるため将来課税される可能性があります。

 しかし、居住用財産を譲渡した場合の3000万円の特別控除の特例が適用できる場合は、この制度を使うことで売却益に対する控除を受けることができます。

 代々受け継いだような土地などを売却するケースでは、売却価格より取得価額がかなり低くなり、売却益が多く出てしまうことがあるため、こちらの特例が適用できる居住用財産に該当すれば節税となるでしょう。

〔 デメリット 〕

① 引っ越してもいい人しか活用できない

 ① 引っ越してもいい人しか活用できない

 相続対策と言っても、相続税評価額を下げるためだけに従来の自宅から都市部などに移り住むをいうのは現実的ではありません。

 住居を変えることで生活しづらくなってしまっては、いくら節税ができるとしても望ましいことではないでしょう。

 あくまで自宅の引っ越しや建て替えなどを検討されている人などが追加的に検討できるような節税方法となります。

 しかし、相続対策を考えられるような世代の方は老後の生活を考えると、交通の便が良く様々なものが近場にそろっている都市部は人気であり住みやすい地域もありますので、節税になることも含め検討されるのもよろしいかと思います。

・配偶者に居住用財産を贈与する

〔 メリット 〕

① 贈与税の配偶者控除を受けることができる

② 夫婦それぞれが居住用財産の売却の特例の適用ができる

 ① 贈与税の配偶者控除を受けることができる

 予定被相続人の財産を減らすために、その配偶者へ財産をあらかじめ贈与することも生前にできる相続対策の一つです。

 贈与はある程度自由に財産を処分できる利便性があるため税金面で相続より厳しくなっているため、相続によって余分な税金を払わないよう財産を移転しようとするのが生前対策の基本になりますが、配偶者がいる場合、居住用財産である自宅建物やその土地については一定額まで贈与税が無税になります。

 具体的には、居住用財産の贈与について贈与税の計算上の基礎控除110万円に合わせて、配偶者控除2000万円が適用できます。

 例として一般的な夫婦では、夫の財産が多く、妻の財産は夫より少ないケースが圧倒的に多いため、夫に相続税がかかる場合に自宅の全て、または一部を妻へ贈与することで高い税率を避けることができる又は無税になる、ということもできます。

 贈与税の配偶者控除については、 配偶者のいる人が使える税法上の制度 ~相続税と贈与税~ をご覧ください。

 ② 夫婦それぞれが居住用財産の売却の特例の適用ができる

 居住用財産を売却した場合の3000万円の特別控除の特例が適用できる場合は、売却益に対する控除を受けることができます。

 この特例は、居住用財産を夫婦で共有している場合、夫婦それぞれがで適用することが可能です。

 つまり、夫婦で最大6000万円まで譲渡所得となる売却益に対して控除を受けることができます。

 居住用財産の売却の特例は、先代から引き継いだ自宅や土地を売却するようなケースでは譲渡益が多く出るため、上記した贈与税の配偶者控除と併せて使われることが多いです。

〔 デメリット 〕

① 不動産取得税や登録免許税がかかる

② 配偶者は相続税額の軽減がある

③ 小規模宅地等の特例を適用することで評価額を下げることができる

 ① 不動産取得税や登録免許税がかかる

 配偶者への居住用財産の贈与で一番のデメリットとなるのは、配偶者の不動産の取得費が多くかかる点です。

 建物や土地などの不動産は、贈与や譲渡、相続などにより所有者が変わる場合、所有権の申請手続きである登記をしますが、その際に不動産取得税や登録免許税という登記費用が発生します。

 不動産取得税や登録免許税は、相続により不動産を取得した場合は優遇されており、不動産取得税はゼロ、登録免許税は評価額の0.4%になっています。

 しかし、贈与により不動産を取得した場合は、不動産取得税は評価額の1.5%、登録免許税は2%と非常に高くなっています。

 また、登記をするための依頼料などもかかります。

 そのため、ある程度多額の相続財産や居住用財産を持っている人などでなければ、相続税の節税額や売却の特例による節税額より不動産の贈与にかかる費用のほうが高くなってしまう可能性もあるため、どれだけの相続税がかかる予定で配偶者に贈与することによりどれだけの節税効果があるのか十分に比較する必要があります。

 ② 配偶者は相続税額の軽減がある

 配偶者は、税金面で相続の際に優遇されており、元より相続財産の1億6千万円と法定相続分のどちらか多い金額までが相続税がかかりません。

 そのため、相続対策として配偶者に居住用財産を贈与することが有効なのは、多額の相続財産を持っている人などであり、相続人が配偶者のみであるようなケースでは有効ではありません。

 ③ 小規模宅地等の特例を適用することで評価額を下げることができる

 相続により取得するケースで小規模宅地等の特例を適用できる場合、最大80%の評価減ができます。

 贈与の場合、時価や固定資産税評価額をもとに贈与税や登記費用などを計算するため、相続により取得するケースと比較して、より高い費用がかかるおそれがあります。

 予定被相続人が小規模宅地等の特例が適用できる自宅の100%を所有していれば、配偶者だけでなく相続人は最大80%の評価減の恩恵を受けることができますが、生前に配偶者に贈与していたために小規模宅地等の特例が適用できる自宅が50%しかない場合は、相続人は被相続人の持分である自宅の50%の部分のみ最大80%の評価減の恩恵を受けることしかできません。

 やはり、相続対策として配偶者に居住用財産を贈与することが有効なのは、多額の相続財産を持っている人などであり、相続人が配偶者のみであるようなケースでは有効ではありません。

 

【まとめ】

 不動産を活用した節税は、その金額の大きさから節税効果も大きくなりますが、確実に誰にでもできる節税方法ではないことです。

 購入したケースや贈与したケースで、相続税や贈与税その他費用にどれだけの差があるのか予測することにおいて、相続時の財産状態はどうなのか、何歳で予定被相続人が亡くなってしまうのかなど不確定な要素が絡むことも多くあります。

 そのため、不動産による節税に限ることではありませんが、相続財産がどれだけあって相続税などがどれだけ発生するかを正しく把握し、その上で生前対策により節税効果の方がどれだけ生まれるのか、を見極めなければなりません。

 特に金額が大きい相続にものですので、相続に強い専門家と相談し、選択し、決定することが望ましいでしょう。

 賃貸用不動産についても、居住用不動産についても、メリットは多くありますが、これらを節税目的で活用する上で気を付けなければならないことは、あくまで現金預金で財産を保有するよりも節税にはなる、ということと、借入利息や登記料などの費用のほうが高くなる可能性がある、ということです。

 節税のつもりがかえって煩雑に、高額になってしまわないよう、十分にシミュレーションを重ねて選択し、決定しましょう。


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